雑食カメラマンの雑感記

神戸でフリーカメラマンをしています。写真やカメラのことを主に書いていこうと思いますが、たまに脱線します。よろしくお願いします。

CanonWP-1 黎明期の全天候型カメラ(但しフィルム)

海辺で使えるカメラが欲しい(20年前)

 

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ベトナムで買ったCanonのWP-1

そういえば、持ってたはず…

と思いながらも発掘したキヤノンWP-1

結構なマイナー機ですよね?多分。

WはWater、PはProofだと考えて先ず間違いないかと思います。

確かこれは輸出用機で国内版はオートボーイD5ってのが近いのですが、D5はパノラマ途中切り替え機能(懐かしい無駄機能!!)に加えて、水中3mまで潜っても良いですよ機能が付いてましたので、廉価版ともとれる位置づけのカメラです。

因みにCanonのホームページにも載ってないので、鬼っ子扱いなカメラです。

本機がホンマに「ウォータープルーフ」なだけってのを、購入から数日で思い知ることになりました。

 

当時の水中カメラ事情

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どう見ても水中カメラなスイッチ類

購入したのは20年ほど前、2000年初めのベトナムです。

当時は水中カメラってのは、Nikonの「ニコノス」各型か、写ルンですの防水ケースしか一般的では無くて、ガチのヤツかテキトーなヤツかの二択状態でした。

工事業者向けにfujiやkonicaからHD-Rやら現場監督やらがありましたが、それらは潜ることができない仕様。頑張ったらできそうですが、海辺でカメラに気を遣うのは仕事の時だけにしたいもの。気楽に使える水中カメラが欲しかったころだったんです。

何かないかと色々探してみると、上記のオートボーイD5ってのが日本では現行品(当時)で売ってたので、物価の安いベトナムならお得に買えるのではないかというさもしい考えが頭の片隅にありました。

 

探してたと言うよりは偶然の出会い

この時のベトナム旅行は、行きと帰りの飛行機予約しただけの無計画旅行。着いてから色々考えよう-なんてスタンスなんで、道中ビーチのある町へ寄るなんてのは朧気にしか考えてませんでした。なので、そう云った用途に適した機材なんて持って無かったんですよね。当時は防水の機器事体あんまり売ってませんでしたから。

そんな流れでいつものように現地調達となったわけです。ウ号作戦です。

そして、サイゴン滞在中、行きつけのカメラ屋のショーウィンドウに「オートボーイD5」っぽいシルエットを見つけたので、確保と相成ったわけです。

ちょっと違う⁉

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モード切替一番下の表示が「お花」マークなのが不安を煽ります

見覚えのあるシルエット(一応、日本でオートボーイD5はチェックしてました)なんで、安易に安心して買っちゃったんですが、D5とは何か違うんです。

当時は旅行先でネットとか見ることができないんで、記憶と推測で判断することになります。違いを確認すると「途中パノラマ切り替え機能」が無いのが相違点の一つ。

まあ、これは良いんです。絶対使わないから。

問題は向かって左下のモード切り替えレバーの水中撮影モードっぽいのが単純にマクロ切り替えみたいな表記になってます。若干不安が過ります。

何故水中撮影を謳わないんだ、と。

海で潜って使おうって考えだったのに水中で使えないと困りますが、他に手は無いので根拠はないけど信用して使うしかありません。

見てみると、シルエットはまんまD5ですし、スイッチ類は水中カメラのフォーマット。裏蓋開けたらちゃんとパッキンゴムもあります。わざわざ水没するようなのを天下のCANONが作るはずがありません。

少し不安はありますが、WP-1を仲間に加えて次の町ニャチャンへと向かいました。

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ちゃんとパッキンもあるんですが…

海辺の町ニャチャン

当時のベトナムは解放されてきたとはいえ、まだまだ未開の地。そんな国の海辺のリゾート地ってのはエエ感じにカオスで、整備されてない感じが堪りません。

現地まではツポレフだかアントノフだかのソ連製プロペラ機(信用できないから怖い)で移動。到着した空港にはMiG21が並んでおり、空港からホテルまでは胡散臭いルノーの白タクに乗ってと、テンション上げるには十分すぎるシチュエーション。

ビーチの町なのに、昼間に海辺は閑散として人っ気が少なく、夕方以降にワラワラと現地の人が出てくるような愉快な町でした。海はもちろんきれいですし、食事関係ではロブスターや蝦蛄やらが安くて美味しいんです。さらには当時は珍しい日本食のレストランまでありました。

そのビーチで使うために、わざわざカメラ買ったんですよね。エエ買い物したと思ってました。

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数少ない同機の撮影画像(妻撮影なので水平はチョット…)

日差しが…

まあ、旅慣れてきたので整備されてない海辺でも平気になってたりします。

と、いってもガチに泳ぐのは自分だけなんで、今考えたら随分燥いでたなぁって思いますね。恥ずかしい話です。

海に使ってからがWP-1の本領発揮で、はじめは楽しく使ってたんですが、少し水に潜った辺りから、ファインダーに水が入ったような感じがしてきました。

これは困ったなーと思いつつもしばらく海辺で遊び、念のためカメラからフィルムを抜いてホテルに帰ったんですが、その日の夜に日差しを浴びすぎた相方がダウン。付きっきりで看病して相方が回復したら、今度は自分が時間差でダウンという悲惨な状況。2日ほどはカメラどころではありませんでした。

 

WPって何?

で、回復してからカメラを使おうとすると案の定動きません。

コイツはヤラレタなーなんて思いながらも、やっぱりなーという予感が当たった気持ちに加えて、もう海には入らないからエエかな?なんて諦めもあって、ショックはあんまりありませんでした。

ただ、こんなんなら写ルンですの水中版で良かったんじゃないかなとは思いましたが、当時は現地でDPE出してたので向こうの現像屋さんは写るんですの現像はできなかった気がしますので、どのみちこれしか手はなかったんじゃないかなと思います。

ちっともWaterProofじゃなかったWP-1ですが、後にネットで調べてもほんの少ししか情報が出てこないので、レアな機体(の文鎮)を買ったと思えばエエ買い物ではなかったのかと思います。

それからしばらくして、家族旅行で沖縄に行ったときには懲りずにRicohのPXなんていう防水カメラを買ったんですが、こちらも水没してリタイアしてます。

つくづく水中カメラには縁がありません…