露出関係の操作性が悪い以外は良いカメラ
「オートフォーカスは動きものに弱い」なんて話が実しやかに噂されていた1990年。
動体予測オートフォーカス・予測駆動フォーカスなんて言葉が華々しくカメラ誌面を飾ってました。
CanonのEOS系列もα7000には完勝してましたが、後発のα7700iには分が悪い様子。初代EOSには前記の動体予測AFが無いのです。次の世代へのつなぎ的な機種としてEOS630が発売されたのはそのα7700iが発売された翌年でした。
優等生なEOS
もともとイイ感じにまとまっていたEOSの600系列ですが、630はその最終形態。
あと、変則的なのとしてEOS630を後のSONYα77みたいにハーフミラーにしてブラックアウトをなくしたEOSRTってのがありましたが、あれは番外編です。
EOS630はベース機のEOS650に動体予測AFと、のちに主流となるカスタムファンクションを備えた機種。外観はEOS650、620と殆ど変わらないのですが、定番の黒のほかにガンメタリックのカラーバリエーションを加えて発売されました。
そのままだと地味過ぎるので、ちょっとテコ入れした感じですが、昔のAシリーズとは違って完全にプラスチックボディとなったのですから、もっと冒険しても良さそうなんもんですが、カメラにカラーバリエーションが出たってことで、当時は結構センセーショナルな感じがしたもんです。
でも操作性がイマイチ
残念なことにEOS600系列は、そのカッコイイデザインとは裏腹にマニュアルの操作性が劣悪なんですよね。
一応コマンドダイアルはあるものの、一個だけなんでシャッタースピードと絞り値を瞬時に変えることができない仕様。
それはよくあるんですが、露出の表示が独特なんです。
露出アンダーなら「OP」
露出オーバーなら「CL」
などという表示が出ます。
こんなのわかりませんよね。
表示される「OP」はシャッターや絞りを今よりも開けるOPENの意味。同様に「CL」は同じく閉めることを意味するCLAUSEって事らしいです。
まず訳したところで開けると閉めるって表現からわかりにくいのですが、その表示が出るのもレンズマウント周辺の「M」ボタンを押したときだけという不親切さ。
多分、普通の人はマニュアルで撮るのを諦めるレベル。メータードマニュアルってのが出来ない仕様です。
T90の時の使いやすさは何処へ行ったんでしょうね?
EOS-1になったら復活しますが、露出計の表示なんていうのはこのクラスでも必須な機能だと思うんですが…
つまり、何も弄らずに使うには良いのですが、意思を介在させようとしたら途端に拒否するように使いにくくなるってところが、私が始めのチョイスでCanonを選ばなかった所以です。
後のモデルは使いやすいんですけどね…
良い所も少々
ディスってばかりでしたが、基本性能は高めでB.1~1/2000、X125のシャッターに動体予測オートフォーカス、秒間5コマの巻き上げにカスタムファンクション等々盛りだくさん。スペックに現れないところでも、後のEOS各型(EOS-1系列を除く)と比べると格段に剛性の高いボディは安心感を与えてくれますし、ファインダースクリーンもピントがわかり約素くて見やすいです。
これで操作性をもっと考えてくれてたら、更にヒットしただろうと考えると、非常に惜しいです。
ジャンク籠で入手
手に入れたのは確か八百富のジャンクコーナーだったと記憶してます。
買ったの結構昔なんですよね。
仕事前に別の店で同じEOS630の元箱入り・未使用っぽいジャンク品を見つけたんですが、嵩張るから帰りに買おうと思ってたら売れてしまってたんです。
あの時代の機種が元箱入りだと食指が動きまくるので、別日に比較的奇麗な同機を見つけたとたんに確保してしまった次第です。
因みに3本ほどしかフィルム通してません。ちょっとかわいそうですね。
600シリーズはジャンクでも人気が無くて結構狙い目だったんですが、最近は良いジャンクも無くなってきたので、気になる方は早めの確保をお勧めします。