一昔前の定番レンズ
いくら感度が上げられるからと言っても、F値が明るいに越したことはありません。
F3.5~5.6よりもF2.8通しの方が良いのは言うまでもありませんね。
でも所謂ニッパチズームだと「デカい・重い・お高値い」の三悪が付いて回ります。
イイのを撮るためとはいえ、結構代償が大きくて困ったものです。
とりあえず純正レンズは性能を突き詰めたモノなので、重かったりデカかったりお高価かったりするのですが、サードパティは妥協点を試行錯誤して作っているので、たまにとても良いバランスの製品を作り上げてくれることがあります。
TAMRONの28-75㎜F2.8。製品名A09はそんな試行錯誤の賜物です。
「標準」ズーム
ちょっと前までは「28~70㎜」がF2.8通しの標準ズームではスタンダードでした。
丁度、デジタルが主流になってきたころですね。
その頃のデジタル一眼レフカメラは、所謂APS-Cのセンサーを用いたモノがおおかったので、28㎜スタートの標準ズームってのは何とも画角が狭くて使い辛かった気がします。その一世代前、丁度NikonだとF4、CanonだとEOS-1の頃だとNikon派35~70㎜、Canonは28-80㎜でしたがF2.8-4と云うF値可変ズームレンズでしたから、そのころ比べりゃ遥かにマシなんですが、ワイド側もテレ側もイマイチ中途半端に感じたモノでした。
フルサイズ化後
フルサイズが普及してくると、標準ズームは28-70㎜から24-70㎜が一般的になってきます。また、少し前からは24-105㎜(Canon)や24-120㎜(Nikon)なんて解放F値F4通しの少し暗めだけどズーム域を延ばした便利ズームも登場。標準ズームがテレ側にも伸びてきました。
でも、F2.8通しで性能を保つには24-70が精いっぱいみたいで、「24-105㎜F2.8」みたいな理想のレンズは当時はもちろん今もまだ現れてません。
そういえばTAMRONで28-105㎜F2.8なんてレンズがありmしたが、売れなかったのか早々にディスコンになってますね。
テレ側に伸ばしたレンズは歪曲が結構出るので、四角四面を撮りたい方には不評だったのかもしれませんね。先代のCanonEF24-105㎜F4も私のメインレンズの一つですが、歪曲酷いので、他のレンズで撮るか後からPhotoshopで補正するかしなけりゃいけないのが面倒なところ。因みに新型も使ってみたのですが言うほどには変わってませんでしたが、RF 24-105mm f4L IS USMはそれなりに良くなってましたね。設計の自由度が違うのか、そこらへんは流石でした。
で、28-75㎜
そんなこんなで表題のレンズですが、焦点距離的に頑張り過ぎていないのが良いのか凄く安いのによく写る優等生なレンズでした。
お値段は標準価格6万円で売値は3万円チョイと云う破格値で、大きさ・重さはF値が3.5-4.5とかのキットレンズ程度で携帯性もバッチリでした。
これで人気が出ないわけは無くて相当に売れたんですが、残念ポイントもあります。
一番の問題点はAFで、前世紀の遺物のような普通のモーター駆動。ジージーと駆動音が煩いうえに遅くて、動き物は難しいですし動画なんて考えられません。
まあ、モノは使いようでして、ガチじゃない料理とか、ガチじゃないポートレートとかなら全然楽しく撮ることができます。
撮影に際して若干のストレスはありますが、F2.8の解放F値とキットレンズ並みの大きさ&重さ、そして気休め程度にテレ側に伸びた75㎜って焦点距離が意外にも使いやすいのです。
今なら更にお値段が安いですし、ミラーレス化していない方々は買って損のないレンズだと思います。