雑食カメラマンの雑感記

神戸でフリーカメラマンをしています。写真やカメラのことを主に書いていこうと思いますが、たまに脱線します。よろしくお願いします。

Ai改Nikkor200㎜F4 質屋の逸品

高校生の時に買った初望遠単レンズ

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Nikkor200㎜F4です

 

大学時代ならまだしも、高校生の時ってお金ないんですよね。

クラブやら家の方針やらでバイトも長期休暇の時にしかできなかったので、高価な機材をそう簡単に買えるもんじゃなかったんです。

そうすると、手持ちの機材でどうにかすりゃいいんですが、やっぱり欲しい物は欲しい。

物欲は原動力。

モチベーションを上げるには新しい機材が要る時もあります。

でもまあ、純正品の新品なんて高嶺の花。

カメラ屋でショーウインドウを穴が空く勢いで見つめてみても、優しい店員さんが破格の条件で譲ってくれるなんてお伽噺はありません。そもそも10代半ばまで成長したなら欲しいモノの代金ぐらいは自分で工面しなきゃなりません。

なので、安い中古の型落ちって事になります。

Nikonのレンズ…

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フード内蔵です

当時の望遠レンズと言えばAiAFNikkor80〜200㎜F2.8s

流石に十万円超えは買えません。

あとは廉価版&暗い版のAFNikkor70−210㎜F4-5.6と望遠側に伸びた75−300㎜F5.6。

これすら高校生には高杉晋作なので、SIGMAの70-210㎜F5.6を使ってましたが、どうもシックリこないんです。

当時のSIGMAのデザインがダサいのもあるんですが、なんとなくピンとこない(フォーカスは合います)んですよね。見栄もあってやっぱり純正が欲しくなるんです。

ズームがダメなら単焦点

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最短撮影距離は2㍍と長めです

純正ズームが高くて買えないのなら、当時はズームより安い単焦点に興味が向きます。

昔のレンズラインナップは高くて明るいレンズと暗めで安いレンズの二本立てでした。

当然、お金ないんで暗くて安いヤツに目が向きます。

モノの良し悪しがわかってなかったので、AiNikkor85㎜F2は初めから眼中に無くて、AiNikkor105㎜F2.5なんてのも望遠効果がなくてイマイチ。MicroNikkorの105㎜F2.8も同じ理由と高いのでスルーでした。

135㎜はF2.8のヤツと、それよりちょっと安くてちょっと暗いF3.5がラインナップされてましたが、色々と中途半端な気がしてこちらもパス。

そうすると残ってるのは180㎜F2.8と200㎜F4しか残ってません。

あの頃はF2.8の有難味を理解してなかったので、180㎜F2.8はAFの新型はもちろん、マニュアルフォーカスのAi版も高いので、200㎜F4が欲しい焦点距離且つ手の届く範囲で一番安い純正レンズでした。

それでも高い…

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当時はすべてがMade in Japan

Ai200㎜F4がちょうど良いぐらいとわかっても、高校生にはおいそれと買えないのは変わりません。

小遣いやプールしたバイト代はフィルムのTri-XやPius-X、現像液のD-76やらイルフォードの印画紙などで日々消えていきます。

その時手元にあったのは2万円もないぐらい。

心許ないというか、普通に足りません。

安い出物は無いかと毎週のように河原町近辺の中古屋をパトロールしても良いのは見つかりません。

やっぱり京都は相場が高いんだなと思って諦めかけてたんですが、家の近所にある質屋のショーウィンドウを覗いてみたら、1万5000円で200㎜F4がおいてあるではありませんか!

質屋のレンズ  

これを逃してはイカンとばかりに急いで見せてもらうと、形はAi200㎜F4と瓜二つなんですが、残念なことにAiになる直前のレンズでした。

ご存知かとは思いますが、Nikonの「Ai」ってのは人工知能のことではなくて、絞り値をカメラへ伝える機構が新しくなったタイプのこと。1970年代前半・NikonF2の前期まではレンズを交換するたびにそのレンズの開放F値をカメラにセットしなきゃならなかったんですが、Ai化してからはその必要がなくなりました。

Ai化してないのは不便だとは思いつつも、お値段には勝てません。

「まあ、望遠レンズはブレるの怖いから開放でしか使わんから良いか」

なんて、いつもながらアバウトな思考で買ってしまいました。

買って帰ってみるとフィルターがカビカビだったんでフィルターは捨てて、ずっと剥き出しで使ってました。フィルター径はNikon共通の52㍉径だったんで、無いこともなかったんですが、黴の胞子が残ってたら怖いので敢えて裸で使ってました。

Ai改造

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当時は安くでAi改造してくれました

そんなこんなで手に入れた200㎜。撮影前に絞り込んで露出を決定するというやりかたで使ってましたが、一本だけ違うと使いにくく思えます。

なので高2の終わり頃に大阪のNikonサービスセンターへ持ち込んでAi改造 してもらいました。確か3000円ほどでやってもらえたんじゃないかと思います。

当時のNikonはユーザーに優しい企業だったと記憶してます。

今はどうなんでしょうね?

出来上がったレンズを梅田の太融寺にあったサービスセンター取りに行った帰り道、せっかくだからと廃線直前だった南海電車天王寺支線を撮影しに行ったのが、このレンズ最後の活躍でした。

掘り出してきたんで、久しぶりに使ってやりたいんですが、Nikonは私の手持ち機材だとデジタルで使えないので残念です。

フィルムだと順番待ちが長いので使えないんですよね…