やっと出会えた輸出専用機
まだオートフォーカスがイマイチな出来だった90年代、カメラ雑誌の読者コーナーなんかでは「AF VS MF」なんて不毛な論争が賑やかだったころの話です。
日本では機能全部入りで安いカメラ、CanonのEOS1000やらMINOLTAのα3xiなんかが代表的な廉価版機種ですが、欧米特に北米市場では未だにマニュアルフォーカスのカメラが主流でAF化でメーカーが見捨てたマウント、CanonFDマウントだとかMINOLTAのMDIAPPマウントとかの新機種が新たに発売されたりしてました。
CanonT-60とかMINOLTAのX370なんかがいい例ですよね。
売れるとはいえ、そのままだとマズいのでメーカは新たな手に出ます。いつまでも捨てたシステムを存続させるのはメーカー側としては不利益だからなのか、新しいAFのシステムに誘導するためなのか、わかりませんが、AFマウントのまま機能を極力簡素化させた超廉価版シリーズが誕生する運びとなりました。
その代表的なのが今回手にいれたCanonのEF-Mです。
EFマウントでMFのみという不条理
前述の通り、当時の北米市場はオートフォーカスなどの自動化を嫌がる傾向だったので、全て無駄を取り除いたような機種が求められていました。
EOS1000なんてのはシンプルでわかりやすく低価格なんで結構イイ線行ってたんですが、それでも北米市場では機能過多ーって声があったのかどうかわかりませんが、そこから更に色々削ぎ落として誕生したカメラがCanonのEF-Mです。
色々抜きすぎてEF-MマウントなのにAFまで廃してます。
驚くほどのストイックさが魅力です。
当時のボタンがごちゃごちゃしたカメラにウンザリしていた層からは「こんなんでええねん」なんて言われてましたが、残念なことに国内での販売は無くて海外版のみ。
国内では売れないと判断されたんでしょうかね?
露出制御はヘンテコな絵文字モードが無いのでわかりやすくていいかとは思うんですが、AFまで抜いたのはやりすぎかなぁーと老眼の症状が出始めた今となってはしみじみ思います。
至ってシンプル
超廉価版のカメラなんで、構造はシンプル通り越して簡素です。
カメラ握って右手側に絞りダイヤル、左手側にシャッターダイヤルで、絞りダイヤルをオート位置にすると左手側のダイヤルの指示値が生きてシャッター優先AE、逆に左手側のダイヤルをオートにすると絞りのダイヤル指示値が生きて絞り優先AEに。両方をオートにするとプログラムになるって寸法です。
もちろん、オートをどっちも外したらマニュアルです。
非常にわかりやすくて写真の基礎を学ぶには良い機材ですし、そんなシンプルなカメラが低価格帯に有るのは羨ましい限りでした。当時の国内発売されているエントリー機はありがた迷惑的なオート機能しか付いていない機種が幅を利かせていて、ちょっと凝ったことしたかったらそこそこ上位機種を買うか、古いMF機を中古で買うかって選択肢しかなかったんですよね。Ricohとかは別として…なのでエントリー機の差が写真に関する考え方の違いを表しているみたいで面白かったです。
まあ、私なんかは古いMF機に逃げたんですけどね。
マニュアル露出の良し悪し
カメラのAF胴体予測AFや多点測距AFなんてのを取り入れた第二世代に入った頃、増えた機能を狭いボディに詰め込むためにボタンが増え、そのボタン類の大きさも小さくなっていきました。
そうすると、なるべく無駄なものは省きたくなるようで、露出は多点測光するので露出補正はしなくても良いと云う考えから撮影者が好みで設定する部分を自動化してしまい、エントリー機なのに写真の醍醐味の一つである露出制御を楽しめないカメラが市場を席巻していました。
EF-Mはそんな風潮へのアンチテーゼに思えて、高校生の時なんかはこういったカメラがもっと増えてほしいなと思ってました。
EF-Mは輸出専用機なんで国内で目にする機会は滅多に無くて、あっても不当に高いんで手は出せませんでした。
数年前に上位機種のEOS Revellを手に入れましたが、EF-Mも欲しいなぁと思っていたところ、ジャンクで1500円と少し高いながらも見つけてしまったので、ついつい鹵獲してしまった次第です。
まだ電池入れてないんですがファインダー表示とか諸々の設定等、雑誌やWebではわからなかったところを含めてじっくり遊んでみようと思ってます。
できればフィルムも入れて…
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