雑食カメラマンの雑感記

神戸でフリーカメラマンをしています。写真やカメラのことを主に書いていこうと思いますが、たまに脱線します。よろしくお願いします。

アートコードEOS… バーコードなんて使いませんけどね

ポテンシャル高いのに勿体ないEOS10です

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アートコードイオス…

90年代のお話ですが、初めてのカメラをチョイスする際に候補に挙がったのがNikonのF-601、MINOLTAのα7700i、そしてこのCanonEOS10QDでした。

結局はNikonにしたわけですが、今思えば上記の3機種のなかで結構イイ線行ってたのがCanonのEOS10。

当時の自分にとって、デザイン・機能・そしてメーカーのブランド力ーどれをとっても良いんですが、一つ気になったのがバーコードの存在。

「アートコードEOS」なんて意味の分からない機能をウリにして宣伝されていたEOS10ですが、私はどうもこれが好きになれませんでした。

なので結局はNikonのF-601にしたわけですが、それこそ穴が空くほどカタログを読みまくったので、非常に印象深い機種です。

アートコード?

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持ち手左下の丸い所がバーコードリーダーの読み取り口です。

アートコードってのは、作例写真が印刷されたカードや冊子が用意されてまして、その下にはバーコードが印刷されてます。それを専用のバーコードリーダーで読み取った後、カメラへ送信するといった手間もかかれば実益もなさそうなシステムです。有名写真家の技が云々ってなことが宣伝されてたように記憶してますが、シチュエーションが違うのに同じの撮れるわけないやろーって至極当たり前の感想と、何となく強制される感のある機能への嫌悪感とが入り混じってEOS10への感情が大変悪いものになってしまってました。

今考えたら、送信できる機能なんて露出モードと露出補正、ストロボの有無と調光量、オートフォーカスのモードやフィルム給送モード程度のモノ。今のように直接画像に直結するところを弄れるわけでは無いので出来ることは多寡が知れてます。

しかもカードや冊子からバーコードを読み込んでそれをカメラに赤外線で送信して撮影ーなんてアホみたいな手順を現場でやるのは、初めからバーコード読み取ってやろうと思わないとできない訳で、実用性は皆無な機能でした。バブルの余韻ある時代とは言え、こんなアホみたいな機能をくそ真面目に製品化するなんて、とんでもない時代だったんだなーと今振り返ってみると驚きます。

結論を言えば「無視したらいい機能」なんですが、若い時ってそれが出来ないんですよね。このおかげでEOS10への評価は散々でした。

基本的には良いカメラ

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今となっては要らないですが、ストロボも内蔵です。

そんな無駄機能は無視しつつ、EOS10を改めて見てみるとなかなかよくできたカメラなんですよね。

初の多点測距(こっちの方がバーコードよりも実用性は数倍スゴイ)やら秒間5コマの巻き上げ、高度化されたオートフォーカスに使いやすくカスタマイズできるカスタムファンクション等々、便利機能が盛り沢山。

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カスタムファンクションの設定は大変やりにくいんですけどね

未だ使い難さは抜けないけどEOS600系列よりは格段に使いやすくなったマニュアル露出なんかも秀逸です。

機能合戦ではNikonのF-601なんかよりもはるかに上なんじゃないかとは思います。

機能もてんこ盛りではありますが各部もしっかり作られていて、ボディの剛性はちゃんとしてますし、三脚ネジ部分やら電池室なんかの作りも後発のEOS100なんかに比べたらすごくシッカリした作り。安心感があります。

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電池室もちゃんとヒンジが付いてます

中級機では初となる内蔵ストロボも電動でポップアップ&ダウンしますしお金かけて作った感は凄くあります。

現在まで続く一眼レフ中級機の操作系はこの機種がベースになっていて、右手側に大型液晶パネルとダイヤル、左手側にモードダイヤルってレイアウトはEOS10が最初。EOS5D系列もこの配列から離れていませんので、結構エポックメーキング的なカメラですよね。

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右手に大型液晶、左手にモードダイヤルってレイアウトの始祖です

総じていいカメラです。

ただ、コストダウンの為なのか軽量化を目指してなのかわかりませんが、フィルム室がプラスチック製で平面性に若干の不安があったりします。

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フィルム室はプラ製で若干不安です


まあ、平面性云々言うようなレンズを使う訳では無かった当時からしたらどうでもいいような不安なんですが、プラスチックを多用されるとチョット安っぽく見えるのも事実。

この辺りはEOS-1との差別化ってところでしょうかね。

あとは背面ダイヤルが無いのが残念ポイント。

背面ダイヤルと廉価版のEOS1000みたいに露出計がバーグラフだったらほぼ完ぺきだったんですが、変なバーコードとかやめて背面ダイヤルと露出計表示にその資金を振ってくれてたらもっと売れただろうって思うと大変残念です。

今ではジャンクの常連

そんなEOS10ですが、現在では中古としての商品価値も消滅してジャンク籠の常連。

10年ほど前からよく見かけてはいたんですが、ここ数年でジャンクのランクも急落して当初2000~15000円だったのが今では500円ほどに。

流石に美品は無くなってしまっていて、持病のシャッターダンパーが溶けだしたヤツや外観がボロボロのヤツがほとんど。まあ実際フィルム入れて使うことは無い(⁉)にしてもボロいと欲しくなくなるのは仕方ないところです。

なので、手に入れる機会が無かったんですよね。

ハードオフ

そんな中、昨日岸和田でお仕事があったのですが、良く行く場所じゃないのでやっぱり散策は必要です。帰りに道に隣の市の和泉市ハードオフがあることがわかったので寄り道してみたところ、300円でEOS10を発見。鹵獲と相成りました。

外観はそこそこきれいで電池入れてみたらちゃんと動きます。

これはいい出物だと喜び勇んで家に帰ってチェックしてみたら、ファインダーの液晶表示が全部点灯してしまっていて何が何やら読み取れません。

他は全部動くだけに非常に残念な状態でした。

やっぱり安いものには訳がありますね…

困ったことに何度痛い目見てもやっちゃいます。

まあ、300円なんでビール一本飲んだぐらいだと思えば…

 

 

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