雑食カメラマンの雑感記

神戸でフリーカメラマンをしています。写真やカメラのことを主に書いていこうと思いますが、たまに脱線します。よろしくお願いします。

Super Presuto 10年漬け

10年漬けの熟成版

 

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年季の入った現像リール…



部屋を整理していたら出てきた「スーパープレスト」

勿論撮影済みだったりします。

エライ事です。

因みに、スーパープレストってのは、ネオパン1600 SUPER PRESTOの事です。

 

 

スーパープレスト?

 
スーパープレストってのは、フジフィルムがかつて発売していた露光指数(EI)1600の高感度黒白フィルムで、現像条件の選択により最も頻度の高いモノクロ撮影の感度領域:EI 400~1600において、きめ細かい粒状と高いシャープネスをもち、立体感あふれる高画質を実現することが出来る―なんて触れ込みの、万能感あふれるフィルムでした。
 

高感度?

 

フィルム時代はiso1600なんて粒子荒れるわ昼間使うと絞り開けられないわで、使い勝手がイマイチでした。
メーカーはEI:400~1600で使用可能-なんて謳ってますが、実際のところISO400ならトライXやらプレストの方が安くて使い勝手がいいのでそちらを使うのが一般的。特に自家現像するなら、同じフィルム使わないと調子や粒状性が揃わないのでやりにくいのです。
なので、高感度フィルムは敬遠してました。
当時は皆、必要以上に粒状性に敏感になっていたのか、折角の便利フィルムだったんですが、あまり出回らなかった気がします。
 
 

面倒なので後回し

 
で、
何故そのスーパープレストがあるのかと言えば、嫁が誕生日にくれたからなんです。
丁度そのころはデジタルへの転換期だったんですが、誕生日に嫁が「フィルムでの感覚を忘れないように」と、毎年何処かしかで入手した数本+αをくれてました。
勿論それらは家族の記念写真に費やされるんですけどね。
エエサイクルです。
 
当時は撮り溜まってきたら纏めて一気に現像してました。
トライXなんかは現像のデータが同じなんで纏めるのも簡単なんですが、異質な高感度フィルムは一本だけで回すのが面倒でついつい後回しに…
そして、そのうちに部屋の片隅に紛れ込んだみたいです。
 
 

ようやく日の目を見ることに…

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粗い粒子が目立ってハイライトは飛び飛び…

さて、ようやく現像に取り掛かったわけですが、既に現像データなんて意味なさそう。
なので、D-76の20°c原液で8分-なんてひどく適当な温度と時間で現像してみました。
結果が良好なはずはなく、上がってきたのはヌケが非常に悪くて「カラーネガを無理矢理モノクロ用薬剤で現像しました」みたいなネガ。
前回書いた定着失敗とはまた別のベクトルですが、相当なヌケの悪さです。
iso1600&10年熟成は伊達じゃないみたいです。
まあ、保存状態を考えたら、写ってるのが奇跡みたいなもんですからね。曲がりなりにも解像しているだけで御の字としましょう。

 

さて、中身はといえば

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ノイズか粒子かわからないぐらいにザラザラ…



そして、中に写っていたのは驚きの10年前の画像。
いくらなんでも熟成させすぎました。
ネガの中には、現在小学校高学年になる息子02の出産直後までが入ってました。
思ったよりも昔なのでビックリです。
存在を忘れてたのに、中に写っていたのは我が家にとって貴重な時間の記録だったことにも吃驚。
大体三人目は適当になりますが、これは適当すぎましたね。
もっと早くに現像しとくべきでした。
 
そういえば、この「スーパープレスト」ってフィルム、調べてみたらちょうど10年前に製造中止しているんですよね。
最後の最後に使った高感度フィルムでこの結果だったわけですが、今ならもうちょっとポテンシャルを引き出した撮影ができたと思うんですよね。
もうちょっと真剣に向き合っとけばよかったなぁ…なんて思います。
今更悔やんでも後の祭りなんですがね…

いや、それにしてもこの頃の子供たちは皆可愛かったかったなぁ…
やっぱり記録って大切ですよね。
後悔はありますが、何某かの形で残せてよかったです。