雑食カメラマンの雑感記

神戸でフリーカメラマンをしています。写真やカメラのことを主に書いていこうと思いますが、たまに脱線します。よろしくお願いします。

十ン年前のハイエンド EOS-1D Mark2

その独特過ぎる操作感

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そういえばコレ以降ハイエンドに縁が無いです…

フィルム時代のCanonAF機って言うと、EOS-1系列以外は仕事で使い物にならないって風潮がありました。デジタル化した今も一部ではそうなのかもしれません。
当時の普及機ってカタログスペックは良いんですが、600系列以降の普及機は華奢な…っていうよりも「安普請」って感じの作りだったので、撮影時に強く握ると軋む感じがする(あくまで感じです)し、モードダイヤルはクリックが無くなるなんて考えられない持病がありましたし、ストロボ内蔵のペンタ部は変に大きくて何だかカッコ悪いのでした。今は一周回ってあのテのデザインも大好きですけどね(重傷です)。

そんな折、結婚を機に機材を大整理して下取り金で初代のEOS-1を買ったところ、目から鱗な感じでイイんです。数値化できないスペックってありますよね?信用できる感覚が手に犇々と伝わってくるんです。

その時買ったのはブースター無しの「素」なEOS-1。ブースターという名のモータードライブが無いので、巻き上げこそ2.5コマ/秒と遅いものの、確りとした各部の動きは下位の機種とは一線を画すものでした。デザインもジャミラみたいで好きでしたね。

その後、EOS-1はシャッターがダメになったので、業界紙の新聞社を退社してフリーとなった際にEOS-1n2台を先輩から購入して揃え、その後EOS-3を使ったりしながらフィルム時代は徐々に幕を下ろしていきます。

デジタル化に当たって

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久しぶりに引っ張り出してみたら結構汚い…

当初はEOS30Dからデジタル化を始めて、その後EOS20Dを追加。更に必要に迫られてフルサイズのEOS5Dを購入して、一端の陣営を形成してました。

blog.kobephotomic.work

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ここで、何か物足りないと思うんです。

そう、ハイエンド不在です。

 

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左肩部 このボタン配置が慣れると使い易いんですよね

当時のCanonハイエンド機は

高速連射・機動性重視のEOS-1D系列

画質重視・フルサイズのEOS-1Ds系列

の二系統で構成されてました。

 

そんな時、東京でグラビア系の仕事をしていた友人から「EOS-1Dsに乗り換えるから使ってるEOS-1DMarkⅡを買わんか?」と持ち掛けられまして、EOS-1に飢えていた当時の私は後先考えずに飛びついてしまったのでした。

丁度、EOS-1D系列の新型MarkⅢがシャッターから潤滑油が飛んでセンサーに付着するといった不具合が指摘されていた頃なので、不具合が出そうな新型機よりもエラーを出し切った前の型の方が信用できるという考えもありました。

 

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誇らしげな「MarkⅡ」と「DIGITAL」のエンブレム。時代ですねぇ…

いざ手にしてみると…

やっぱりEOS-1系の操作性はしっくりきます。

AFは結構喰らいついていってくれるのでストレスは少ないですし、8.5コマ/秒の連射も小気味良く、ついつい撮影枚数が嵩んでいきます。

あと、×1.3倍の所謂「APS-H」サイズのセンサーも絶妙に使い勝手が良かったです。

フルサイズと二台体制の時限定ですけどね。

このEOS-1DMarkⅡ、2004年発売と当時からしても古かったんですが、カードスロットは初めからSDとCFのダブルスロット。同時書き込みも振り分けも可能という文句の付け所が無い仕様でした。この辺りは流石ハイエンドってところですね。

でも、操作感は懐かしのEOS-1なんですが、デジタルカメラなんでフォーカス・露出関係が弄れたら良いってもんでもありません。調整するパラメータは沢山あります。

なので背面に色々とボタンが付いているわけですが、これが独特過ぎて結構戸惑います。画像を確認するのも「DISPLAY」って独自表記ですし、「SELECT」ボタンを押しながらでないと前の画像を確認出来無いという謎仕様。しかも後ろダイヤルの真ん中には「SET」ボタンが無いうえにジョイスティックも無いので、右手親指の仕事が少なくて手持無沙汰です。

5D系列とは違いすぎる操作性は、頻繁にISO感度とWBを弄らないといけない現場ではなかなか混乱します。さらに液晶はEOS-20D並みの小ささ。解像エンジンもDEGICではなくて、黎明期感があるもので他の機種と癖が違うらしく、その時は撮影データを丸投げしていた現場からは「EOS5Dのデータと混ぜられるとデータが弄りにくい」と言われたことも…

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色々操作し難い背面部 操作は2アクションが基本なのが解せぬ


中古の恐ろしさ

それでも、妙な信頼感から積極的に使い倒していたんですが、ある日、撮影中に違和感と異音を感じて確認してみたところ、画面1/3に黒い影があります。

使用を中止して、メイン機だけで撮影を乗り切ったところで確認してみたところシャッター幕が一部崩壊していました。

初めての経験だったんで驚きましたね。

幸い、サブとして使っていてメイン機を重点的に使ったので支障なくお仕事の画像は納品できたんですが、ヒヤッとする出来事。至急修理に出したのですが、妙な信頼感ってヤツは木っ端微塵になりました。

ハイエンドでも中古品をメンテしないで使うと壊れます…当たり前ですね

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ミラーは普通サイズ ショックは少なめです

その後

結局、シャッター幕の崩壊で信頼を損ねた上、動きものをあんまり撮らない現場がほとんどな私にとって、EOS-1DMark2の高速性能は持て余し気味。前述のEOS5Dが故障した際の代打にEOS5DMark2を購入したこともあって、予備役に編入となったのでした。

その後、EOS5D系列もMark3からはモッサリ感が随分と減ったので、動きの速い撮影もEOS5D系列でカバーできるようになり、本機のような高速連射専用機の必要性は無くなりました。

それでも(手持ち機材のなかという限定条件下で)レスポンスにおいてはEOS-1DMark2の右に出るものは無くて、たまに懐かしく思うのですが、使えるしょうな仕事が無いので機材庫の中で眠ってもらっています。
因みにEOS-1D系列は電池が独特なんですが、手持ちの電池がすべてヘタってしまっているので、誰かに貸与したりできないのが難点です。今20Dを使ってる息子が欲しいと言ったら喜んであげるんですが、その時は電池買わないといけないか…

 

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作例みたいなのを…と思ったんですが十年前ぐらいのしか見つかりません

 

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意外と今使ってもイケそうな感じですね

 

 

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