これがバブリーの頂点かもしれない…
「知る人ぞ知る」ってのがピッタリなNikonのF4。
バブルの頂点だった1988年に登場しました。
驚きだったのはその価格。
定価で何と24万8000円もしました。
電圧上げて高速巻き上げできる仕様のF4Sだと26万1000円です。
この時代は、消費税導入に係る物品税の撤廃で定価が変わってきますので、資料によってはお値段が変わっていて一体どっちが正解やねんって思いますが、高値いのは変わりません。
今の高級デジタルカメラたちを見ているとどうってことない価格ですが、当時は20万円の壁ってのが結構大きかった気がします。前の型であるF3moCanonのnewF-1もPENTAXのLXも皆10万円台前半。1年後に登場したEOS-1は18万9000円でしたしね。なかなかいいお値段しました。
まあ、素のEOS-1はパワーブースターなんて言う見た目は縦グリですが実質はモータードライブのPowerドライブブースターってのを付けたHS仕様にしないと、遅いわ電池は高いヤツ(リチウム電池の2CR5)しか使えないわで散々なことになるんで、実際のところ同じ価格帯(HSは定価が23万9000円)なんですけどね。
なので、この価格設定はちょっとズルい感じがします。
さてF4ですが…
初めてその存在を知ったのは小学校の時。
「鉄道ダイヤ情報」なんて昨今世間を騒がせている、所謂「撮り鉄」御用達な雑誌の新製品紹介で見たのが初見です。
やはりその時も値段に吃驚して大卒の「初任給よりも高いカメラって…なんて贅沢な」って思ったのを覚えています。
必要性の無いときは贅沢に感じるもんです。それに小学生の金銭感覚ですしね。
次に出会ったのが高校生の時。
実家が結構良い感じの商売をしておられる先輩のカメラがF4でした。
その先輩は「流石に金持ちは違うわ」なんてほかの先輩たちから弄られてましたが、そこそこ仲良くさせてもらってたので「いつでも貸したるわ」なんて言ってもらってました。仲良くしとくもんです。
ですが、ついぞ借りる機会はありませんでした。
当時は私も色々と拗らせており「カメラは電池を使わない機械式で無いとイカン」なんて思ってました。そんな拗らせていた私の中での志向のカメラは同じNikonでも「F2」の方。なので、F4が有している諸々の機能に対して懐疑的だったのも影響してます。
今考えるとアホな話ですが…
で、大学生になって写真学科なんてのに入るとF4は普通の道具って感覚。
学生でも、休みにちょっとバイトすれば簡単に買えますし、F5発売前の当時では文句のつけようが無い道具なので、学生の1/3ぐらいはF4を持ってたんじゃないでしょうか。私は相変わらずF2を使ってましたが、やっぱりF4は便利そうでした。
その後、卒業して写真屋に就職した際に機材一式を下賜されまして、此処でようやく自分のモノとしてF4を手にすることになりました。
因みにサブ機はF2のチタンでしたが…マニアックですね。
色々乗ってる軍艦部
まあ、バブルの波に乗って潤沢に資金をつぎ込んだと思しきF4は、実に贅沢なカメラでした。
軍艦部はダイヤルてんこ盛り。シャッターダイヤルに露出補正ダイヤル、その同軸上にNikonFAと同じような形でモードセレクトレバーがあります。メインスイッチも巻き上げモードセレクトと同軸でシャッターボタンの周りに配置され、左肩にはクラシカルなISO感度ダイヤルあってその上に当時消えつつあった巻き戻しクランクがあります。
カメラの操作に慣れた人なら一目でわかるレイアウトは昔からNikonのカメラを使ってきた人たちから大絶賛。大型液晶パネルよりも使いやすいと言われたりしてました。
その反面、操作部が多いからか人間工学の妙故かボディは少しどころでなく肥大。一眼レフは大きく重いの代表格となりました。
まあ、実際のところそれほど重くは無いんですが、グラマラスなデザインが如何にも重い雰囲気を漂わせております。なので、重いのが嫌な方々からは一世代前の型のF3が至高だとする向きもありました。
使用感など…
私は仕事のメインはF4でしたが、サブがF2だと露出計もアテにならなくて不便を感じていたので、機材庫からF3を引っ張り出してきてF4とF3の両刀で使ってましたが、どっちもイイカメラです。
ただ、うっかりしていて電池を忘れた時にF3の緊急用シャッターに助けられたこともあったので、F3の方が少し好きでしたね。
ただ、シャッターのタイムラグやら大量に撮影する際の使い勝手なんかは流石にF4に軍配が上がります。
余談ですが、甲子園で高校野球の撮影をしたときに急な大雨に振られた時、F4は途中で壊れましたがF2は動いてました。
ファインダーが外せるのがメリットなのですが、同時にそこはウィークポイントでもあります。
やっぱりF2はスゲェな…なんて思ってましたが、事務所に戻ってフィルムを現像に出すとF2に入っていたフィルムは水を被って半分ほどアウトでしたが、F4のフィルムは壊れる直前までちゃんと写ってました。やっぱり防塵防滴ってところだと新しい方が性能高いですね。
フィルムがパーになったら何の意味も無いので道具としてはF4の方が優秀でした。
危ない危ない…
今回もヤフオク
で、そんな懐かしいF4が、しかもF4Sが5000円だったので、試しに入札してみたところ、競合があらわれなくてあっさりと落とせてしまいました。
その時は「ああ、本気じゃなかったのに…」なんて思って後悔してましたが、届くとやっぱりいいカメラだなって事を再認識。
かなり気に入ってます。
考えたらフリーでEOS-1n使うまでは一番沢山撮影したカメラなんで、操作は手が覚えてるって感じです。
やっぱりペンタ部が取り外せるのはメンテナンス上便利ですし、使える限り使ってやろうと思ってます。
やっぱりFヒトケタって並べて良いカメラですね。
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